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造園業の仕事の中身とは? 年収・資格・将来性を知る

造園業は、住宅や公園の造園設計から樹木のせん定、病害虫駆除までを担います。人工知能の活用が進む現代においても、自然と調和した空間づくりの需要は高く、将来性のある職業です。ここでは、仕事内容の詳細から年収事情、必須の資格や今後の動向まで詳しく解説します。


造園業とは、植物の育成や管理にとどまらず、公園、緑地、民間施設の庭園などの空間全体を設計、施工、維持管理する産業です。自然環境と建築物を調和させ、機能的で美しい屋外空間を創り出すことを目的としています。

造園業と庭師は、どちらも緑を扱う仕事ですが、手掛ける規模や組織体制に違いがあります。

庭師は個人や小規模施設、マンションの庭を中心に、せん定や手入れなどの技術に特化して少人数や個人で活動することが多い職種です。一方の造園業は、個人や小規模施設、マンションだけでなく、大規模な公園、道路の緑化、商業施設の外構工事などを組織的に行います。造園会社には、設計士、施工管理担当、実際の作業を行う造園工など、多様な専門人材が在籍しています。

国土交通省の建設業法における「造園工事業」は、整地、樹木の植栽、石の据え付け、公園設備や緑地全体の構築など、幅広い工事を請け負う専門工事です。公共事業から民間開発まで、生活環境や都市景観を形作る多様な業務が含まれます。造園工事業が手掛ける主な業務と特徴は以下の通りです。

造園業の業務区分

造園の仕事は、一連のプロジェクトとして段階的に進行します。最初のステップである造園設計では、施主の要望や敷地の気候風土、日照条件を調査し、図面や3Dソフトを用いて庭園の配置を決定します。設計が承認されると、実際の施工に移ります。

施工段階では、地面を整える整地作業を行い、樹木を植え付け、石や構造物を配置して庭の骨格を作ります。工事が完了した後は、季節の移ろいや経年変化するうえでの維持管理に移行します。樹木の生育を促し美観を保つためのせん定や、害虫による食害や病気を防ぐための病害虫駆除を定期的に実施し、長期にわたって緑の価値を保ち続けます。


厚生労働省の賃金構造基本統計調査などの公的データによると、造園業を含む建設・緑化関連職種の平均年収はおおよそ350万から450万円前後となっています。ただし、この数値はあくまで業界全体の平均値であり、実際には雇用形態や企業の規模によって大きな差が生じます。

個人経営の小規模な造園会社や庭師の親方のもとで働く場合、修行期間中の見習い段階では月給制や日給制が採られ、初年度の年収は250万から300万円程度からスタートすることが一般的ですが、総合的に造園を学ぶことができ、比較的早い段階での独立開業や起業が目指せます。一方で、総合建設会社の下請けとして大型案件を手掛ける中堅・大手造園会社や、行政から直接公共工事を受注する企業に正社員として就職した場合、基本給に加えて各種手当や賞与が支給されるため、年収500万円以上を目指すことも十分に可能です。

また、造園業の給与事情を語る上で欠かせないのが保有資格と個人の技術力です。現場の主軸として働く造園施工管理技士などの国家資格を取得すると、資格手当が毎月の給与に上乗せされるだけでなく、会社の評価が上がり昇格や昇給に直結します。そのため、経験年数を重ねることで、着実に収入を増やしていくことができる業種といえます。

高等学校を卒業した後に直接造園業に就職することは、若いうちから現場での実務経験を積み、専門的な技術を体得できるため非常に有利な選択肢となります。新卒で造園業界に入社した場合の最大のメリットは、年齢的な若さを活かして早い段階から国家資格の受験資格を満たせる点にあります。現場で働きながら実務経験を積むことで、20代のうちに難易度の高い資格を取得し、現場の責任者へと昇格することが可能です。

就職活動を行う際は、求人票に記載されている給与や休日だけでなく、どのような研修制度が用意されているか、資格取得に向けた会社のサポート体制が整っているかを確認することが重要です。また、雇用形態が正社員であるかどうかも、長期的なキャリア形成において重要な判断材料となります。造園の仕事は体力的な負担が伴う場面もありますが、日々の作業を通じて身につけたせん定や造園施工の技術は一生モノの財産となり、将来的に独立開業を目指す道も開かれています。


造園業において、専門的な技術や知識を証明するためには、資格の取得が極めて重要です。資格手当による収入アップだけでなく、現場を統括する立場や独立への道が開かれます。

造園技能士は、庭園の施工や植物のせん定に関する実践的な技術を証明する国家資格です。試験は等級に分かれており、実務経験を積むことで段階的に上位の級へ挑戦できます。

造園技能士の資格

等級が上がるほど、設計図面を読み解く力や、樹木の種類に応じた正確なせん定技術が求められます。上位資格の取得は、技術者としての信頼性を高めるだけでなく、日々の作業効率の向上にも直結します。

造園施工管理技士は、造園工事現場全体の工程管理や安全管理、品質管理を担うために必要な国家資格です。1級と2級に分かれており、それぞれ担当できる工事の規模が異なります。

●2級造園施工管理技士:中小規模の現場で主任技術者として、施工計画の作成や現場の指揮監督を行います。

●1級造園施工管理技士:大規模な公共工事や再開発において、監理技術者として現場全体の責任者を務めます。

特に建設業法において、営業所に置くべき専任技術者や現場に配置する主任技術者・監理技術者の要件を満たすため、会社からの評価が非常に高く、昇進や給与アップに直接結びつきやすい資格です。さらに、公共工事の入札における企業の評価点数にも影響するため、組織全体から重宝されます。


造園業の未来を左右するのは、都市開発における緑化の重要性の変化や、住環境の多様化です。気候変動による異常気象への対応や、持続可能な社会を目指すSDGsの観点から、環境配慮型の緑地管理をする植栽設計のニーズが高まっています。造園会社は単に庭を美しく整えるだけでなく、環境保全や防災機能を備えた空間づくりを担う存在として、その役割を広げています。

これからの造園会社には、従来の個人邸の庭木の手入れや公共工事の施工にとどまらず、多角的なサービスを提供できる総合力が求められます。具体的には、マンションの大規模修繕に伴う緑地リニューアルや、商業施設における屋上緑化・壁面緑化の企画提案、さらには空き家問題に関連する放置庭園の管理などが挙げられます。また、少子高齢化が進む中で、高齢者世帯や共働き世帯を対象とした定期的な庭の手入れや防草対策の代行サービスなど、地域密着型のきめ細やかな対応も事業継続の重要な柱となっています。

造園業界においても、人工知能(AI)やICT(情報通信技術)をはじめとする技術革新の波が押し寄せています。測量や図面作成の分野では、ドローンを活用した上空からの敷地調査や、デジタル技術を用いた樹木・構造物の正確なデータ化が進んでおり、設計から施工までの業務効率が大幅に向上しています。また、施工現場では自動追尾型の重機や、遠隔操作による草刈りロボットの導入が進みつつあります。一方で、せん定や植栽といった高度な職人技や美的センスを要する作業は、人間ならではの判断が不可欠です。今後は、デジタル技術による効率化と、職人の手作業による高品質な施工を融合させることが、造園業の持続的な成長を支える鍵となります。