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とび職人の仕事の中身とは? 年収・資格・将来性を知る

とび職人の仕事

とび職人は建設現場の高所で足場の組み立てや鉄骨建方を行う、工事の安全と効率を左右する不可欠な職業です。平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査などのデータによると約400万円から500万円ですが、資格の取得や経験の積み重ねなどで、さらなる収入増や独立が可能です。


建設現場において、とび職人は高所での作業を安全かつ円滑に進めるための基盤をつくり、建物の骨組みを組み立てる役割を担っています。建設業界全体の人手不足が叫ばれる中、専門的な技術を持つとび職人の存在価値はますます高まっています。

主な仕事は、建設工事現場の基盤となる足場の架払いや、鉄骨、重量物の据え付けなどです。足場の組立て等は、他の職人が安全に作業を行うための命綱とも言える重要な工程であり、建築工事の品質と工期を左右します。

業務範囲は多岐にわたるため、労働安全衛生法などの関係法令に基づく各種の安全教育や技能講習の受講が義務付けられており、現場における安全管理の徹底が求められます。

高層ビルや橋梁、送電線といった高所での作業は、常に墜落や転落のリスクを伴います。とび職人は、高所作業におけるスペシャリストとして、命を守る安全設備の設置と確実な施工を同時に行うことで、現場全体の労働災害を防いでいます。


建設現場の工事を進める上で、とび職人が担当する作業は専門分野ごとに分かれています。現場全体の安全性や工期を左右するため、それぞれの職種が持つ役割を正しく把握することが重要となります。

足場鳶は、建設現場の作業員が安全に移動し高所作業を行うための仮設構造物である足場を組み立てる専門職。高層ビルから一般住宅の改修工事まで幅広い現場で活動し、すべての工事の土台を作る極めて重要な役割を担っています。

主な仕事内容は、図面に基づいた足場部材の搬入、単管パイプやクランプでの架設、作業床の設置、そして工事完了後の解体作業になります。

鉄骨鳶と重量鳶は、建物の骨組みや大型設備などの重量物設置を担う専門職。それぞれの具体的な作業内容は以下の表の通りです。

鉄骨鳶と重量鳶の仕事内容の違いの表

鉄骨鳶は地上数十メートル以上の高所で鉄骨のズレをミリ単位で調整しながらボルトを締結していきます。一方、重量鳶は狭小地や既存の建物内において、数百キロから数トンある大型機械を安全に移動・設置する高度な誘導技術と機材の運用能力が必要とされます。どちらも大型で扱いづらい建材・設備を、正確かつ安全に設置する仕事です。

橋梁鳶は河川や海峡、谷などを跨ぐ道路や鉄道の橋を架ける工事のスペシャリスト。高所かつ足場や気象環境が不安定な環境下で、巨大な橋桁の架設やボルト締めなどを確実に行います。

機械鳶は巨大工場内の生産ラインの設置や移設、メンテナンスを専門に行います。精密機器を扱うため、微細な水平調整や振動を抑えた運搬技術と、扱う設備への深い知見が不可欠になります。

送電鳶(送電線架線工・ラインマン)は、山間部や鉄塔の上といった極めて高所にある送電線の架線や保守点検を行います。電気工事士の資格が必要です。


高校を卒業する前に直接、高所作業専門の建設会社などへ、学校の求人票や就職斡旋を通じて応募します。入社すれば、最初は知識や経験がなくても現場で業務を行ううちに必要な知識や安全意識が身についていきます。

高所での作業が中心となるため、とび職人には何よりも高い場所に対する恐怖心を克服し、安全管理を徹底できる慎重さが不可欠です。

また、建設現場は多くの職人と協力して作業を進める共同作業の場です。そのため、現場での円滑なコミュニケーション能力や協調性が極めて重要になります。


とび職人の平均年収は、初任給の段階でも一般的な高卒の初任給を上回ることが多く、若いうちから比較的高い収入を得られる仕事です。

収入の仕組みは、勤務する建設会社や親方の下での雇用形態によって異なります。多くの場合は日給制または月給制が採用されており、これに各種手当が上乗せされる給与体系が一般的です。

とび職人の収入の仕組みの図

とび職人が年収を上げるためには、現場における経験を積みながら専門的な資格を取得することが最も確実な方法です。入社当初は補助的な作業から始まるため見習いとしての給与になりますが、実務経験を重ねて親方や職長クラスに昇格すると基本給自体が大きく上がります。

また国家資格や技能講習を修了し、さらに、建設キャリアアップシステム(CCUS)を行って自身の施工実績や保有資格を正確にデータとして蓄積・証明することで、能力に見合った適正な評価と賃金アップにつなげることが可能です。


とび職人として建設業界で長く活躍し、収入を上げていくためには、安全管理と高度な施工技術を証明する資格の取得が不可欠です。任される作業の幅が広がることで、確実なキャリアアップにつながります。

すべての作業者にとって、法的に義務付けられているのが「足場の組立て等特別教育」です。高さが5メートル以上の足場の組立て、解体、変更に関する作業を行うために必ず受講しなければならない安全衛生教育であり、とび職人としてスタートするための最初の関門となります。

受講資格は満18歳以上で、各都道府県労働局長登録教習機関などが実施する学科と実技のカリキュラムを修了することで修了証が交付されます。

高所での安全な作業効率を高めるうえで欠かせないのが「高所作業車運転技能講習」です。作業床の高さが10メートル以上の高所作業車を運転し、現場で操作するために必要な国家資格であり、橋梁工事やビルメンテナンス、プラント工事など幅広い現場で重宝されます。

足場を組むスペースがない狭小地や、迅速な高所移動が求められる現場において、即戦力として現場で高く評価される資格です。

とび職人としての技術力を公的に証明する最高峰の資格が、厚生労働省が認定する国家資格の「とび技能士」です。試験には1級から3級までの等級が設けられており、実務経験や難易度に応じてステップアップしていきます。

とび技能士の資格等級の表

とび技能士を取得することで、施工品質の高さが社内外で認められ、資格手当によるベースアップや、現場の親方・職長への昇格が有利になります。また、将来的に独立して自身の建設会社を立ち上げる際にも、信頼性を裏付ける大きな強みとなります。

技能者の処遇改善と業界全体の生産性向上のために導入されたのが、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録です。とび職人が保有する資格やこれまでの現場での就業履歴をインターネット上で一元管理し、個人の能力を正確に数値化・可視化する仕組みとなっています。


建設業界全体で慢性的な人手不足が続く中、高所作業を専門とする鳶職人の需要は非常に高水準で安定しています。都市部の再開発事業や、全国で相次ぐ老朽化した社会設備の耐震補強工事、高速道路や橋梁のリニューアル工事など、とび職人が必要とされる現場は絶えません。 一方で、建設現場における労働環境の改善や安全性のさらなる向上は急務となっています。そのため、個人のスキルアップだけでなく、働きやすい環境づくりに力を入れる建設会社を選ぶことが、今後のキャリアを築く上で重要な要素となります。

とび職人としての経験を積んだ後の大きな飛躍の一つが、専門工事業としての独立開業です。独立によって、現場の裁量が広がり、収入の大幅なアップを目指すことが可能になります。

独立を実現するためには、まず現場での豊富な実務経験と資格の取得。技術力だけでなく、元請け企業や職人仲間との信頼関係を築くコミュニケーション能力や、安全管理能力も求められます。

独立までの一般的なステップは以下の通りです。

とび職人とのステップの表

独立初期は、元請け企業との太いパイプを持つことが事業を安定させる鍵となります。また、建設業法や労働安全衛生法などの法令を遵守し、安全第一の施工体制を維持することが、継続的な仕事の受注と会社の信用向上に直結します。


とび職人は建設現場の高所作業を支える重要な職種であり、専門的な種類に分かれています。 年収は経験や資格によって変動し、足場の組立て等特別教育や高所作業車運転技能講習、国家資格のとび技能士、CCUS登録を活用することで技術と経験の証明となり、収入向上が図れます。建設業界での需要は安定しており、技術を磨くことで将来的な独立も目指せます。