高校生のための就職マップ

建設系ってどんな業界?

 現在の課題として労働時間の是正が長らく問題視されていましたが、DX化の流れの中で少しずつ克服に向かっています。施工管理システムによる業務の効率化、建材の自動加工といったデジタル技術を駆使することで、労働者一人ひとりの生産性が上がり、労働時間が削減されています。一方で、就業者の年齢層が高い業界であることから、デジタルリテラシーが低く、DX化が進まない企業も少なくありません。

 また、建設業界には3K「きつい」「汚い」「危険」といったイメージが強くあります。そんな中、このイメージを払拭すべく、国土交通省は労働環境改善のため、あらたな3K「給与」「休暇」「希望」の実現を掲げ、週休2日の確保やICT導入による生産性や労働環境の向上などなどに取り組んでいます。

高校卒業後の就職率(就職希望者に対する就職者の割合)は、98.0%と非常に高く、就職を希望する多くの生徒が職を得ているのが現状です。その中でも建設業界との関わりが深い工業系の学科では就職率が99.4%と、ほぼ全員が就職しており非常に高い実績を示しています。このようなデータからもわかるように、建設業界は高い就職率と安定した需要があり、高校生にとって将来性のある魅力的な進路です。

就職率について
(令和7年3月高等学校卒業の就職状況(令和7年3月末現在)に関する調査より)

高卒で建設業界に就職する最大のメリットのひとつは、若いうちから実際の現場で経験を積めることです。学校でも基礎を学ぶことはできますが、現場では図面の読み方や道具の使い方、安全管理の実践など、より実務に直結したスキルを身につけることができます。また、先輩職人や技術者から直接指導を受けられる環境も多く、手に職をつけながら成長していくことができます。はやいうちに豊富な経験を積むことで、将来的に現場リーダーや管理職へのステップアップも狙いやすい業界です。

高卒で建設業界に就職することですぐ働き始めることができるため、早い段階で安定した収入を得られます。現場作業員や職人の仕事は需要が高く、未経験からでもしっかり稼げる環境が整っています。さらに、経験を積むことで昇給や資格手当も見込めるため、年齢に比べて高収入を得る人も少なくありません。また、実家暮らしの方は生活コストを抑えながら貯金できるのも高卒就職の大きな利点です。

建設業界は手に職が求められる代表的な業界のひとつです。現場での作業はもちろん、資格取得や専門技術の習得によって、自分のスキルがそのまま仕事の幅や収入に直結します。このようなスキルや資格は将来的に独立したり、転職する際にも大きな武器になります。長く働ける職を探している人にとって、建設業界は非常に魅力的な選択肢です。

建設業は現場仕事が中心となるため、体力的な負担が大きい点に注意が必要です。屋外での作業が多く、夏は猛暑、冬は寒風の中での作業も珍しくありません。重たい資材を運んだり、長時間立ちっぱなしで作業することもあるため、ある程度の体力と健康な身体が求められます。体調管理が仕事の質にも直結するため、日頃から規則正しい生活を心がけることが大切です。

建設現場では高所作業や重機の操作、電動工具の使用など、常に危険と隣り合わせの作業が発生します。安全対策は徹底されていますが、少しの油断が大きな事故につながる可能性もあるため、常に高い注意力と集中力が求められます。入職後には安全教育や研修を受けることになりますが、日々の現場でも自分の身の安全は自分で守るという意識が非常に大切です。

建設業界では現場で働く作業員から、仕事全体をまとめる現場監督や管理の仕事へとステップアップしていくことができます。さらに経験を積めば、自分で会社を立ち上げたり、独立して働くという道もあります。しかし、何も考えずに毎日の仕事をこなすだけでは収入や立場がなかなか上がりにくいのが実状です。将来を見据えて資格を取得したり、責任ある仕事に挑戦することが自分の成長につながります。早いうちから目標を持って行動することが大切です。

高校を卒業してから建設業界に入るときは、最初はわからないことが多いです。そのため、新人に対してしっかりと教育や研修を行ってくれる会社かどうかは選ぶときの非常に重要なポイントです。安全に関する知識や基本的な作業手順、工具の使い方などを丁寧に教えてもらえる環境は安心して働き始めることができます。また、入社後のフォローアップ研修や資格取得のサポートがある会社は、長く働きながらスキルアップを目指せる点でも魅力的です。

建設現場では常に危険が伴うため、安全管理がしっかりしている会社を選ぶことが大切です。ヘルメットや安全帯の着用が徹底されているか、現場でのルールが明確に決まっているかといった点を確認しましょう。また無理な長時間労働がないか、休憩がきちんと取れるかといった労働環境にも注目する必要があります。働く人の健康と安全を大切にしている会社は、安心して長く働くことができます。

長く安心して働くためには、会社の安定性や将来性も重要なポイントです。公共工事や大手企業の仕事を多く請け負っている会社は景気の影響を受けにくいため、安定した収入が見込めます。また、再開発やインフラ整備など今後も需要が見込まれる分野に力を入れている会社は将来的にも成長が期待できます。企業の実績や取引先、今後の事業計画などを事前に調べて、自分に合った職場を見つけましょう。